痴漢の容疑 よくあるご質問
- 痴漢の容疑で夫が警察に捕まりました。いつ頃戻って来られますか。
- 身柄拘束が継続するか否かは、事件の具体的内容、警察での取調べの状況、勤務先の有無等の様々な事情を総合的に判断して決められるため、一概にいうことはできませんが、前科前歴がなく、犯罪事実を自白しているような場合には、当日ないしは翌日には釈放されるケースが多いようです。
- 痴漢をしてしまい、被害者と示談したいのですが、弁護士に依頼をすれば絶対に示談できるのでしょうか。
- 相手方のあることなので、弁護士に頼んだからといって必ず示談ができるというわけではありません。しかし、弁護士に依頼し、弁護士の指導のもと誠心誠意をもって謝罪文を書き、弁護士を通じて謝罪の気持ちを伝えた上で示談金のお支払いを提案すれば、示談に応じて頂けるケースは比較的多いです。
なお、痴漢の事案においては、弁護士に依頼をしなければ被害者はまず連絡先を教えてくれませんので、示談交渉を開始するには、弁護士に依頼しなければならないことがほとんどです。このような状況に鑑みれば、被害者との示談をお考えであれば、弁護士に依頼することが最善の方法であるということができるかと思います。
- 示談金の相場はどのくらいなのですか。
- 通常の迷惑防止条例違反の事件で30万円から50万円、強制わいせつ事件で50万円から100万円(事案次第ではそれ以上)という金額で示談が成立するケースが多いように思われます。
もっとも、刑事事件における示談とは、被害者の方に示談金を受領してもらうことと引き換えに、被疑者(被告人)の方にお許し頂く(具体的には、寛大な処分を受けることを望む旨の書面(示談書)に署名を頂く)ということですので、結局は、被害者の方の意思次第で示談金の額も変わってくるということになります。
ですから、謝罪文等によって被害者の方の気持ちを和らげさせるということが非常に重要なものになってくるのです。
- 痴漢事件の示談にはすぐに着手した方が良いのでしょうか。
- 事件後何も連絡がないというのでは、被害者の方に「誠意がない」と感じさせ、被害感情をより強めてしまう場合がありますので、示談交渉には、原則として、できる限り早く着手すべきです。
もっとも、事件から時間が経過してしまったからといって示談交渉をあきらめる必要はありません。一般の方は刑事事件の手続に精通していないのが通常であり、被害者と示談するという方法があること自体に思いが至らぬ人も多いため、そのことを丁寧に被害者の方に説明すればご理解頂ける場合も多いです。
示談を思い立った段階ですぐに弁護士にご相談下さい。
- 痴漢事件では、示談をすれば必ず不起訴となるのでしょうか。
- 迷惑防止条例違反の事件の場合、示談をすればほぼ不起訴となります。
もっとも、前科がある場合にはこの限りではありません。日本の刑事手続においては、「前科の有無」が非常に重要視されるので、前科がある場合には、示談をしても必ずしも不起訴になるとは限らないのです。
そこで、前科がある場合に不起訴処分を勝ち取るためには、検察官との交渉や意見書の提出等の弁護活動が不可欠なものとなってきます
なお、強制わいせつ罪の場合には、同罪は「申告罪」(被害者の告訴がなければ訴追できないという罪のことです。)となっていますので、被害者と示談をして、同時に告訴取下書をとることができれば前科があっても起訴されることはありません。
- 罰金刑になってしまったとしても、車のスピード違反と同様、お金を払えば終わるのだから何も問題はないのではないでしょうか。
- 痴漢による罰金刑は、行政的な処分にとどまるスピード違反などの際の「反則金」とは異なり、刑事手続上の「刑罰」に該当するものですので、「前科」として国に明確に記録されます。
そして、現実の刑事事件の処理においては、先にも述べたとおり、前科の有無が非常に重視されているので、今後、何らかの罪で刑事手続に付された際に、前科がついてしまっていることが非常に不利な事情となってしまうのです。
「私はもう犯罪は起こさないので関係ない」ということにはなりません。自分から進んで罪を犯すことはなくとも、交通事故等による自動車運転過失致死傷罪等のように、いくら自分が気をつけていても罪を背負ってしまうことはありうるところです。このような場合、前科さえなければ執行猶予付きの判決を得られるにもかかわらず、前科があるがゆえ即「実刑」ということにもなりかねないのです。
ですから、「罰金刑」だからといって問題がないということにはなりません。ある程度の費用や労力をかけたとしても、罰金刑に処されずに不起訴処分に持ち込むことが非常に重要なのです。