解決のために
知っておくべきこと
どのような場合に損害賠償請求できるのか
ことばによるものと行為によるもの
セクハラとは、広くは「相手方の望まない性的言動すべて」をいうので、たとえばあまり好きでない上司から「~ちゃん、と呼ばれて嫌な思いをした。」ということばによる事例でも、受け手が望まない性的な言動ですから、セクハラといえます。
ただ、それによってまとまったお金が請求できるかと申しますと、それは別の問題になります。
会社で働くうえにおいては、男性も女性も、ある程度の不快な言動は誰でも受けるものであり、それが社会通念上の受忍限度の範囲内といえるものならば、損害賠償を請求することは困難になります。
上記の事例では、社会通念上の受忍限度の範囲を超えているとはいえないと思われるので、セクハラといい得るものの損害賠償請求は厳しいでしょう。
ざっくり申しますと、ことばによるセクハラは、刑事事件にならないのは当然として、民事事件としても、よほど非常識なものでないかぎり、受忍限度のものとして、まとまった額の損害賠償を請求することは困難といえるでしょう。
刑事事件になり得るものと、それには及ばないもの
一方で、女性の意思に反して身体に触れる、ということになれば、女性の受忍限度を超えることは当然として、通常は「迷惑防止条例」の罰則規定に触れるものとして刑事事件にもなりかねないものなのとなります。なので、刑事告訴を取り下げるのと引き換えに和解によって相当額の解決金を取れることは十分にあり得ます。
このように、セクハラに当たるか否かが重要なのではなく、刑事事件になり得るか否か(=女性の意思に反して身体に触れるものか否か)が重要なのです。
加害者の属性について
セクハラにかぎったことではありませんが、お金がない人からお金を払ってもらうことはできません。また、後で述べるようにセクハラの場合は訴訟外の和解で終わることが多いので、お金を払う意思があること、言い方を変えればお金を払わざるを得ないと思う立場にある人でないと解決することは難しくなります。
具体的には、(1)加害者の資力(そもそも示談金を支払うことができるくらいお金があるのか)(2)加害者の家族の状況(妻子持ちであるなど、セクハラをした事実をばらされると、致命的な損失を被る立場にあるのか)(3)加害者の会社での立場(経営者でなくサラリーマンであるなど、セクハラをした事実が会社にばれることによって、職を失うリスクがあるのか)といった事情から、迅速な解決が可能か判断されるものと思われます。
この場合の解決金について相場というものはありませんが、当事務所で扱った事例からすると、上の(1)~(3)の条件が充たされれば、100万円~300万円の示談金で解決することが多い気がします。
証拠がないのが普通です
セクハラについて相談される方がよく心配されるのは、「証拠が何もないけど大丈夫ですか。」というところです。
この点、損害賠償のような民事事件以上に厳密な証明が要求される刑事事件において、たとえば電車内の痴漢などでも否認事件でないかぎり、物証はなしで、被害者等の供述のみで立件することがほとんどです。なので、民事事件ではなおさら物証がないことはまったく珍しくなく、むしろ当然となります。
逆にいえば、セクハラをしたことをほのめかすメールの履歴がありましたら、相当有利に進めることができますので、証拠の有無などは気にせずに当事務所にご連絡ください。

・意思に反してカラダに触れられるような行為を受けた場合、損害賠償請求が可能です。
・お金を支払わざるを得ない立場にある加害者とは、迅速な解決が可能です。
・証拠の有無は気にしなくても大丈夫です。